Questyle QCC Dongle Proを使ってみた
Questyle QCC Dongle Proを入手する機会があったので、試してみた。
これはUSB-C端子に挿して使う、小型のBluetoothトランスミッターだ。スマホやPC本体のBluetoothではなく、このドングル側から音声を送信することで、LDACやaptX Lossless、aptX Adaptiveなどの高音質コーデックを使えるようにする製品である。
特にiPhoneユーザーにとっては気になる存在だと思う。iPhoneはBluetooth接続だと基本的にAACまでで、LDACやaptX系の高音質コーデックには標準対応していない。なので、iPhoneでももっと良いBluetooth音質で聴きたい人にとって、QCC Dongle Proはその制限を外側から回避するためのアイテムになる。
今回試した組み合わせは、iPhone 16 PlusとSennheiser MOMENTUM 3 Wireless。
ワクワクしながら、iPhone 16 PlusのUSB-C端子にQCC Dongle Proを取り付けて音楽を再生してみた。
最初に聴いた瞬間は、いつもより解像度が高い音楽が流れているように感じた。鋭さという表現が正しいのかわからないけれど、音の輪郭が少しキリッとしているような気がした。ボーカルや楽器の分離感も、いつもよりしっかり聞こえる気がする。
「これはすごいかもしれない」
そう思って、しばらくそのまま音楽を聴いていた。
ただ、ここでひとつ大事な前提がある。
今回使ったSennheiser MOMENTUM 3 Wirelessは、LDACやaptX Losslessには対応していない。対応しているコーデックは主にSBC、AAC、aptX、aptX Low Latencyあたりになる。
つまり、QCC Dongle Pro自体はLDACやaptX Losslessに対応していても、今回のヘッドホンとの組み合わせではそこまでは使えていない。iPhone 16 PlusにQCC Dongle Proを挿した場合、おそらく接続はaptX。ドングルなしでiPhoneから直接MOMENTUM 3 Wirelessにつないだ場合は、iPhone標準のAAC接続になる。
なので今回聴き比べていたのは、「ロスレスBluetoothとAACの差」ではなく、「QCC Dongle Pro経由のaptXと、iPhone標準のAACの差」だった。
そう考えると、少し冷静になる。
しばらく聴いたあとで、QCC Dongle Proを外して、いつも通りiPhone 16 PlusとMOMENTUM 3 Wirelessをワイヤレス接続してみた。同じ曲を、同じヘッドホンで、ドングルなしの状態で聴き直した。
結果から言うと、ほとんど違いがわからなかった。
最初は「解像度が上がった」「分離感が増した」と感じた。でも外して聴き直すと、普通のAAC接続でも十分に良い音に聞こえる。さっき感じた違いは、本当にコーデックの差だったのか。それとも新しい機材を試している高揚感だったのか。自分ではだんだん判断できなくなってきた。
もちろん、違いがまったくないと言い切るつもりはない。
静かな部屋で、聴き慣れた音源を使って、もっと丁寧に比較すれば差はあるのかもしれない。あるいは、LDACやaptX Losslessに対応したヘッドホンやイヤホンで試せば、QCC Dongle Proの本領をもっと感じられる可能性もある。
ただ、少なくとも今回のiPhone 16 PlusとMOMENTUM 3 Wirelessの組み合わせでは、「これは明確に違う」と言い切れるほどの変化は感じられなかった。
これはQCC Dongle Proが悪いという話ではない。
むしろ製品としてはかなり面白い。iPhoneでは使えないコーデックを、外付けのトランスミッターとして使えるようにする発想は便利だし、本体もかなり小さい。LDACやaptX Lossless対応のヘッドホンを持っていて、ワイヤレスでもできるだけ良い条件で音楽を聴きたい人には刺さると思う。
ただ、自分の環境で必要かどうかは別の話だった。
今回の発見は、QCC Dongle Proの性能というより、自分の耳と環境についてだった気がする。
僕はたぶん、aptXとAACの違いをはっきり聞き分けられるタイプではない。少なくとも、普段の聴き方ではそこまで大きな差として受け取れなかった。
オーディオの世界は、スペックを見ているとどんどん気になってくる。LDAC、aptX Lossless、ハイレゾ、ロスレス。言葉だけでも、音が良くなりそうな気がする。
でも最終的には、自分の耳でどう感じるかがすべてだ。
Questyle QCC Dongle Proは、Bluetoothの音質をできるだけ追い込みたい人には魅力的な製品だと思う。特に、iPhoneでLDACやaptX Lossless対応のヘッドホンを使いたい人には意味がある。
ただ、今回のようにMOMENTUM 3 Wirelessと組み合わせる場合は、QCC Dongle Proの本領であるLDACやaptX Losslessまでは使えない。比較対象はaptXとAACになるので、劇的な違いを期待すると少し肩透かしを食うかもしれない。
音は、良くなった気がした。
でも、外して聴いてみたら、いつもの音も普通に良かった。
そしてたぶん、それが今回いちばん正直な感想だ。